プロジェクトをはじめる前に
公開日:2026/08/17
更新日:2026/8/17
病院・医療専門チームが教える、クラウドファンディング成功セオリー

なぜ今、病院でクラウドファンディングが必要とされているのか
24時間365日、地域医療を守り続けるだけでも多くの労力を要する中、医療機器の導入や救急車の更新、施設改修、DX推進に向けて活動するための資金確保もまた、非常に重要な課題となっています。
物価高騰などにより運営コストが上昇する一方で、多くの病院・医療機関では、老朽化した医療機器や救急車、施設の更新といったまとまった設備投資にも直面しています。こうした厳しい状況の中、従来の「診療報酬などの医業収益」や「銀行融資」だけでなく、新たな選択肢として「返済義務のない寄付収入」をあわせて検討するケースが増えています。
その新たな資金調達手段として、注目されているのが「クラウドファンディング」です。従来の資金調達とは異なり、病院が抱える課題や真摯な取り組みを患者さんや地域社会へと広く発信できるため、単なる「お金集めの手段」を超えて、病院の広報発信や、応援してくれるファン(支援者・寄付者)との温かい繋がりを生み出す場として活用が広がっています。
実際に、READYFORが2025年2月に実施したアンケートでは、クラウドファンディングに取り組んだ病院の98%が「広報に効果的だった」、45%が「職員満足度の向上に効果的だった」と回答しました。資金調達はもちろんのこと、地域への広報ブランディングや組織づくりにも良い影響を与えることが、データからも伺えます。
本記事では、これまで多くの病院のクラウドファンディングプロジェクトに専門チームとして伴走サポートしてきたREADYFORの知見をもとに、プロジェクトを成功へ導くための実践的なノウハウをお届けします。
病院のクラウドファンディングを成功に導く、専門チームとキュレーター
これまでにREADYFORに掲載された病院・医療機関のプロジェクト総数は250件を超え、達成金額の中央値は約1,200万円と、病院領域でのクラウドファンディングでは実績No.1となっています。
特に2025年は単年でプロジェクト件数60件、支援総額11億円超と過去最多を記録しました。診療所から病院まで、また民間・公的・大学など幅広い法人格の医療機関にご活用いただいており、病床数でいえば199床以上の中規模〜大規模病院での実施が比較的多い傾向にあります。

この高い達成金額を支えているのが、業界特有の医療広告に関するガイドラインの遵守、院内決裁プロセス、病院ならではの広報戦略の策定、広報施策の実施などに精通した専門キュレーターの存在です。
初めての挑戦であっても、共感・支援の輪を広げるための戦略設計や広報施策のご提案など、準備段階から目標金額達成に向けて、二人三脚でサポートいたします。
病院によるクラウドファンディング事例
(一部抜粋、病院名五十音順)
病院名 | プロジェクト | テーマ | 支援金額 |
|---|---|---|---|
相澤病院 | 医療機器購入 | 22,740,532円 | |
帯広協会病院 | 設備改修 | 31,162,200円 | |
恵寿総合病院 | 災害対応 | 109,547,000円 | |
県立広島病院 | 救急車更新 | 46,874,000円 | |
聖マリアンナ医科大学病院 | 新病院開設の一部費用 | 38,038,694円 | |
大雄会第一病院 | 送迎車両購入 | 14,508,350円 |
病院クラウドファンディングのテーマと資金使途
クラウドファンディングにおいて最も重要なのは、プロジェクトの土台となるテーマ設計です。
どのような取り組みでも等しく共感を集められるわけではなく、クラウドファンディングと「相性の良いテーマ」が存在します。病院・医療機関の領域において、どのようなテーマ・資金使途に対して支援の輪が広がっているのか、大きく分けると以下のように分類されます。それぞれのテーマにおけるポイントと合わせてご紹介します。
テーマ例1|救急車両の更新
地域医療の生命線としての意義を伝える
救急車は地域住民にとって最も身近で、かつ「いざという時」に直結する存在です。老朽化した救急車がどのように限界を迎えているのか、更新によって何が変わるのかを伝えることで、幅広い層からの共感を得やすいテーマとなります。テーマ例2|小児医療・お産の環境整備
「子どもたちの未来を守りたい」気持ちを呼び起こす
小児医療や産科の整備は、当事者だけではなく「子どもたちの未来を守りたい」と願う幅広い世代の共感を集めやすいテーマです。子どもたちやご家族がより安心して過ごせる環境へどう変わるのかなど、患者さん視点での前向きな変化と想いを誠実に伝えることで、「一緒に支えたい」という温かい共感が広がります。テーマ例3|設備改修・院内環境整備
未来へつなぐビジョンを共有し、仲間を巻き込む
病室や手術室、待合スペースなどの改修は、これまでも地域の医療を支えてきた病院の歴史とこれからも地域の医療を支え続けたいというビジョンを伝えることで、患者・職員・地域住民を「病院を一緒に良くしていく仲間」として巻き込むことができます。テーマ例4|医療機器の導入・更新
必要性と社会的な意義を誠実に伝える
新しい医療機器の導入が、患者さんの命や生活の質にどのように直結するのかを具体的に伝えることが、共感の土台になります。「この機器があれば救える命がある」という切実さは、地域住民にとって自分ごととして響きやすいテーマです。
病院クラウドファンディングでおすすめのリターン
READYFORにおける支援者の大きな特徴として、リターン(返礼品)としての物品(モノ)に対してよりも、特別な体験や社会貢献への参加実感に価値を感じる傾向が挙げられます。(クラウドファンディング準備時に押さえたいリターン設計5つのポイント)
病院・医療機関のクラウドファンディングは、他のカテゴリと異なり、リターン(見返り)を求めず応援の気持ちでご支援いただく方が大半を占めるという特徴があります。医療広告に関するガイドラインの観点からも、対価性の高い返礼品を設計するのではなく、感謝を伝える手段としての設計が中心になります。
リターン例1|お礼状・活動報告
支援した後も病院とのつながりを感じてもらう
プロジェクトの進捗や、集まった資金がどのように活用されたかを伝える活動報告は、最も基本的でありながら支援者にとって満足度の高い「お返し」です。リターン例2|病院HPや院内の芳名板等へのお名前掲載
地域とのつながりを形にする
大口の支援者向けに、院内の芳名板等への掲載を検討する病院もあります。ただし対価性のある返礼品としてではなく、あくまで感謝の気持ちを形にするものとして設計することが重要です。リターン例3|お披露目会・病院見学ツアー・特別な体験
特別な体験で、病院をより身近に感じる
支援によって実現した設備を間近で見学し、スタッフから直接話を聞ける機会は、クラウドファンディングならではの特別な体験です。「自分の応援が形になった」という実感や喜びとともに、病院をより身近に感じてもらうことができます。
支援を伸ばすには?病院特有の広報施策
クラウドファンディングにおいて、目標金額を達成できるかどうかは、公開後の広報活動の質に大きく左右されます。どれほど強固なプロジェクト設計を行い、魅力的なリターンを揃えたとしても、その存在を届ける広報活動が伴わなければ支援を伸ばすことはできません。
クラウドファンディングにおける支援の広がりには順序があり、公開直後から見知らぬ不特定多数の人々に認知が拡大するわけではなく、一般的には、実行者との関係性が深い身近な層から順に応援の熱量が伝播していく特性を持っています。(達成率を高める広報の正解。クラウドファンディングの成功に必要な5つの初動戦略)
ここでは、病院ならではの繋がりを活かした、インターネット上の発信だけに頼らない実例に基づいた具体的な施策をご紹介します。
広報施策1|院内でのポスター掲示、受付でのチラシ配布、寄付ブースの設置
日々来院する患者さんやそのご家族は、すでに病院への信頼を持つ層です。院内での視覚的な訴求は、そうした接点を活かした最も効果的な初動施策のひとつになります。あわせて院内窓口での現金寄付の受付フロー(申込書やリターン案内)を準備しておくことで、WEB操作が難しいご高齢の方のご支援も無理なく受け入れることができます。広報施策2|職員からの案内、院内広報を通じた発信
職員は潜在的な支援者にプロジェクトを届けてくれる、最も強力な味方です。職員それぞれが自分の言葉で病院の取り組みを周囲に伝えていくことが、初速をつくる大きな力になります。広報施策3|地元企業・連携医療機関への趣意書送付や対面訪問
既存の関係性がある地元企業や連携医療機関への丁寧なご案内は、まとまった支援や継続的な応援につながりやすい施策です。広報施策4|記者会見の実施やメディアへの働きかけ
記者会見やプレスリリースといったメディアアプローチをきっかけに、地域のテレビ・新聞をはじめとする複数の主要メディアにニュースとして取り上げられるケースも少なくありません。メディア露出が実現すれば、地域の方々への認知度は一気に高まり、病院の活動や想いを地域へダイレクトに届ける強力なフックになります。病院のクラウドファンディングをより詳しく知りたい方へ
クラウドファンディングの具体的なタイムラインや、事前準備の全体像など、より体系的な知識を学びたい実行者様に向けて、READYFORでは「医療機関向け|クラウドファンディングガイド」をご用意しています。本格的な準備を進める前に、ぜひこちらもあわせてご一読ください。
想いの実現に向けて、病院専門チームと共に歩み始めませんか?
ここまで、病院におけるクラウドファンディングのセオリーをお伝えしてきました。しかし、日々の業務と並行しながら業界特有のルールに対応し、発信を続けるには多くの時間と専門知識が必要となるため、「自分たちだけで進めるのは難しい」と感じられた方もいるかもしれません。
だからこそREADYFORでは、実行者様が孤軍奮闘することのないよう、専門チーム・キュレーターが準備段階から終了まで伴走するサポート体制を整えています。
私たちの強みは、その圧倒的な専門性です。国内最多の在籍数を有するファンドレイザー(※2024年7月READYFOR調べ)をはじめ、フィランソロピーアドバイザーや認定評価士など、寄付集めのスペシャリストたちがこれまで数多くの病院の挑戦を支えてきました。「コンサルティングプラン」では、この専門チームがプロジェクトの設計から広報戦略、終了後のフォローまで全面的に支援いたします。
「何から手をつければよいか迷っている」という段階でも構いません。まずは皆様が目指す未来や、その背景にある想いをお聞かせください。
多田絵梨香
医療部門 責任者 / 医療ファンドレイジング エバンジェリスト
2007年東京大学経済学部卒業。 外資系製薬企業でのMR・抗がん剤のマーケター、医療系学会事務局での広報、イベント運営、新専門医制度対応の仕組み構築、医療スタートアップでのオンライン診療・服薬指導事業立ち上げ、事業リード、パブリックアフェアーズ、採用、広報等を経て、READYFOR株式会社に入社。 現在は医療機関等に、“資金“と”想い“をつなぐべく、ファンドレイジングコンサルタントとしてクラウドファンディングの企画・活用等を提案している。
日本初のクラウドファンディングREADYFOR
実績豊富なプロが、
寄付・資金集めをサポートします
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