プロジェクト公開準備
公開日:2026/06/27
更新日:2026/7/31
クラウドファンディングの支援は“同心円状”に広がる。タイトル設計で意識したいこと

クラウドファンディングのプロジェクトページをつくるとき、多くの方が悩むのが「タイトル」です。限られた文字数の中で、活動の魅力や必要性をどう伝えるか...。
どんな言葉を選べば、支援者に「応援したい」と思ってもらえるのか...。
タイトルを考えるうえで大切なのは、いきなり多くの人に届く言葉を探そうとするのではなく、まずは「最初に応援してくれる人」を具体的に思い浮かべることです。
クラウドファンディングの支援は、近しい人から外側の人へと、同心円状に広がっていきます。この記事では、支援の広がり方を踏まえながら、プロジェクトタイトルを考えるときのポイントを紹介します。
クラウドファンディングの支援は、近い人から広がっていく
クラウドファンディングでは、プロジェクトを公開した瞬間から、いきなり見知らぬ多くの人に支援が広がるわけではありません。多くの場合、支援は次のような順番で広がっていきます。
A層:一番近しい人たち
実行者・プロジェクトメンバーの友人、関係者、日頃から活動を支えてくれている方々など、実行者や団体にとって最も近い存在です。プロジェクトの背景や、実行者の思いをすでに知っていることも多く、最初に応援してくれる可能性が高い層です。
B層:活動に共感している、少し距離のある人たち
過去の支援者、イベント参加者、SNSのフォロワー、知人の知人など、直接的な関係は少し薄いものの、活動やテーマに関心を持っている人たちです。プロジェクトの意義や必要性が伝わることで、支援や拡散につながる可能性があります。
C層:これまで接点のなかった第三者層
メディア掲載やSNSでの拡散などをきっかけに、初めてプロジェクトを知る人たちです。実行者との直接的な関係はないため、「なぜこのプロジェクトが必要なのか」「なぜ今、応援する意味があるのか」が伝わることが重要になります。
いきなりC層を狙わないことが大切
クラウドファンディングを始めると、「できるだけ多くの人に知ってもらいたい」と考えがちです。もちろん、最終的には多くの人に届くことが理想です。しかし、公開直後からいきなりC層に向けて発信しても、十分な支援につながりにくいことがあります。
なぜなら、まだ支援が集まっていない段階では、第三者から見たときに「本当に応援されているプロジェクトなのか」「自分も支援してよいのか」が判断しづらいからです。まずは、A層にしっかり呼びかけ、初動で一定の支援額と応援の熱をつくること。そのうえで、B層、C層へと広げていくことで、外側の人たちにも信頼感や期待感を持ってもらいやすくなります。
目安として、できる限り 初動で目標金額の3割程度をA層から集める ことを意識できると、その後の広報展開がしやすくなります。
タイトルは「最初に届けたい人」を思い浮かべて考える
支援を広げるためには、「誰に、どのタイミングで、どんなメッセージを届けるか」を考えることが重要です。プロジェクトタイトルを考えるときも、この同心円状の広がりを意識することが重要です。
多くの人に届くタイトルを考えようとすると、つい抽象的で一般的な言葉になってしまうことがあります。
たとえば、
「未来のためにご支援をお願いします」
「地域を元気にするプロジェクトです」
「子どもたちの笑顔を守りたい」
こうした言葉自体は悪くありませんが、どの団体にも当てはまりやすく、具体的に何をするプロジェクトなのかが伝わりにくい場合があります。
タイトルを考えるときは、まずA層やB層にいる「顔が思い浮かぶ人」を想像してみてください。
その人は、どんな言葉なら立ち止まってくれるでしょうか。
どんな表現なら、「これは自分が応援してきたあの活動のことだ」と感じてくれるでしょうか。最初に届けたい相手が具体的になるほど、タイトルに入れるべき言葉も見えやすくなります。
タイトルに入れたい要素
READYFORのプロジェクトタイトルでは、限られた文字数の中で、プロジェクトの内容や意義をわかりやすく伝えることが大切です。
タイトルを考えるときは、次のような要素を整理してみましょう。
1. 誰が取り組むのか
団体名、地域名、学校名、病院名、施設名、活動者名など、プロジェクトの主体が伝わる言葉です。
すでに応援してくれている人にとっては、団体名や地域名が入っているだけで「自分に関係のあるプロジェクトだ」と気づきやすくなります。
2. 何を実現したいのか
施設をつくる、活動を継続する、子どもたちに届ける、文化財を守る、動物の命を救うなど、プロジェクトで実現したいことを具体的に入れます。「何のための支援なのか」が伝わることで、支援者は自分の寄付がどう役立つのかをイメージしやすくなります。
3. なぜ今必要なのか
活動開始からの節目、施設の老朽化、存続の危機、新たな挑戦、地域課題の深刻化など、「今このタイミングで支援を募る理由」がある場合は、タイトルにも反映できると効果的です。
4. 誰に届けたいのか
地域の人、過去の支援者、卒業生、患者さんの家族、活動に関心のある人など、最初に届けたい相手を意識します。
タイトルは、すべての人に均等に届けるものではなく、まず「この人に届いてほしい」という相手に向けて言葉を選ぶことが大切です。
タイトル例:届けたい相手から逆算する
たとえば、活動5年の節目に新たな挑戦を始める団体であれば、日頃から活動を応援してくれている人に向けて、次のようなタイトルが考えられます。
活動5年目の次なる挑戦。〇〇の未来をともにつくりたい
団体名や活動年数を入れることで、これまでの歩みを知っている人に届きやすくなります。地域の商店街や住民を巻き込みたいプロジェクトであれば、地域名を前面に出すのも一つの方法です。
〇〇商店街に、子どもも高齢者も集える新たな居場所を
地域名が入ることで、その地域に関わる人にとって「自分ごと」として受け止めやすくなります。温泉地や観光地の再生を目指すプロジェクトであれば、地名と実現したい未来を組み合わせることもできます。
〇〇温泉を次の世代へ。地域に愛される湯治文化を守りたい
このように、タイトルは「かっこいい言葉」を探すだけではなく、誰に最初に届けたいのか、その人がどんな言葉に反応しそうかを考えることがポイントです。“自分たちが言いたいこと”ではなく、“支援者に伝わること”を意識する
プロジェクトページづくりでよくある失敗の一つが、実行者側の言いたいことだけを一方的に書いてしまうことです。
活動への思いが強いほど、伝えたいことはたくさん出てきます。
しかし、支援者にとって大切なのは、「なぜ寄付が必要なのか」「自分の支援によって何が変わるのか」がわかることです。
タイトルも同じです。
実行者自身が大切にしている言葉だけでなく、支援者が見たときに意味が伝わる言葉になっているかを確認しましょう。
特に、次の問いを考えてみることをおすすめします。
このタイトルを見て、何をするプロジェクトか伝わるか
誰が取り組んでいるのか伝わるか
なぜ今、支援が必要なのか伝わるか
最初に応援してほしい人に響く言葉になっているか
抽象的すぎず、具体的なイメージが持てるか
プロジェクトタイトルは、支援者がページを読むかどうかを判断する最初の入口です。だからこそ、活動の意義や価値が一目で伝わるように、言葉を丁寧に選ぶことが大切です。
まとめ
クラウドファンディングの支援は、近しい人から外側の人へと、同心円状に広がっていきます。
だからこそ、プロジェクトタイトルを考えるときも、いきなり社会全体に届く言葉を探すのではなく、まずは最初に応援してほしい人を具体的に思い浮かべることが大切です。
A層に届く言葉で初動の応援を集め、そこからB層、C層へと広げていく。
その流れを意識することで、タイトルや広報のメッセージもより具体的になっていきます。
クラウドファンディングは、ただ資金を集めるだけの仕組みではありません。活動の背景や思いを伝え、共感を広げ、仲間を増やしていくプロセスでもあります。まずは、活動を一番近くで見てきた人に、どんな言葉なら届くのかを出発点として、プロジェクトタイトルを考えてみてください!
小谷菜美
執行役員CFRO / エキスパートキュレーター / 准認定ファンドレイザー / 日本評価学会認定評価士
法政大学社会学部卒、グロービス経営大学院修士卒。2017年にREADYFORに参画。クラウドファンディング キュレーターとして伴走したプロジェクトの累積調達額 約40億。2023年ファンドレイジングサービス事業を新規立ち上げ。キュレーター部 部長、サービス開発部 部長等 を経て現職。エグゼクティブキュレーター、准認定ファンドレイザー。認定評価士。
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