はじめる前に

公開日:2023/04/13

更新日:2026/3/24

支援者に喜ばれるリターンとは?ジャンル別・価格設計のコツ

小谷菜美

クラウドファンディングに挑戦しようと決めたとき、多くの方が最初に突き当たる壁があります。それは、支援してくださった方々に何を返せば喜んでもらえるのだろうかという悩みです。せっかく想いに共感してくれても、お返しが魅力的でなければ支援に繋がらないのではないか...。あるいは、豪華すぎるものを用意して自分の首を絞めてしまわないか。そんな不安を抱えるのは、あなたが自分のプロジェクトを大切に思っている証拠です。

この記事では、累計支援額約500億円、掲載プロジェクト数3.1万件を超える実績を持つREADYFORの知見を凝縮し、単なるモノの売り買いではない、想いと想いが繋がるリターンの作り方をお伝えします。

支援者が本当に求めているもの:モノよりコトの時代

クラウドファンディングには大きく、発売前のプロダクトや新製品のテストマーケティングで活用するモノ売り系のプロジェクトと、リターンが目的でなく活動や叶えたい夢のために支援を集める支援系のプロジェクトの大きく2つに別れます。特に後者は、支援者は魅力的な商品が欲しくてクラウドファンディングに参加するわけではないため、どのような返礼品を設定するべきか、検討が必要です。

READYFORの最新の数字を見ると、返礼品としての物品、つまりモノが欲しいという動機よりも、そのプロジェクトでしか味わえない特別な体験や名誉、つまりコトへの支援割合が高いことがわかっています。

支援者の中には、1,000回以上も様々なプロジェクトを応援し続けている方もいらっしゃいます。こうした方々は、社会が良くなっていく過程そのものに価値を感じています。

人気の定番リターンには、実行者からの心のこもった手紙や動画、施設にお名前が刻まれる権利、あるいは普段は決して立ち入ることのできない活動の舞台裏を覗ける見学ツアーなどが挙げられます。過度なコストをかけて立派な品物を用意するよりも、どれだけ深く活動に参加している実感を届けられるかが、成功を分ける鍵となります。


ジャンル別:喜ばれるリターンの事例と特徴

READYFORが多くの実績を持つ特定の分野において、どのようなリターンが喜ばれているのか、具体的に見ていきましょう。

・医療や病院の分野では、活動報告を通じた透明性の確保が何よりの信頼に繋がります。自分の支援によって誰かの命が救われた、あるいは研究が一歩進んだという実感こそが、最大の返礼品となります。

・文化財や寺社の分野では、修復の過程を共有したり、普段は公開されていない場所での特別な拝観や体験を提案したりすることが多いです。歴史を守る当事者になれる喜びは、何物にも代えがたい価値があります。

・大学の研究分野では、専門的な研究成果をいち早く知ることができる報告会への招待や、研究室を直接訪問できる機会が人気です。知的好奇心を満たす体験が、支援者の心を動かします。

・地域活性化やまちづくりの分野では、新しくオープンするお店のプレオープン招待や、その土地の魅力を再発見できる体験型プランが選ばれています。

成功を左右する価格設計:支援の階段をつくる

リターンの価格をいくらに設定するかは、プロジェクトの成否を大きく左右します。READYFORでの1人あたりの平均支援額は約1.9万円という結果が出ています。この数値を参考にしながら、幅広い方々が参加しやすいように、複数の価格帯を用意することが重要です。

まず、3,000円から5,000円程度の低価格帯を用意しましょう。これは、学生さんや初めてクラウドファンディングに参加する方でも、気軽に応援の気持ちを表現できる、純粋な応援コースとしての役割を果たします。

次に、1万円から3万円程度の中価格帯です。ここがプロジェクトを支えるメインの層となります。活動の成果をしっかりと実感できるリターンを配置しましょう。

そして、10万円以上の高価格帯も忘れてはいけません。熱心なファンや法人の方々が、より大きな力で支えたいと思ったときの受け皿になります。高額なコースには、名前掲載や特別な個別体験など、特別感を演出する工夫が必要です。

このように支援の階段を作ることで、無理なく、それぞれの想いに応じた形でプロジェクトに参加してもらうことが可能になります。

リターン設計で失敗しないためのリスク管理

せっかくたくさんの支援が集まっても、リターンの準備に費用がかかりすぎて、肝心の活動資金が残らなかったら本末転倒です。リターンの原価、梱包作業の人件費、発送にかかる送料などを事前に入念に計算してください。

また、発送作業そのものの負担も軽視できません。1,000人の支援者に手書きの手紙を添えて荷物を送るには、膨大な時間と人手が必要です。自分の本来の活動を妨げない範囲で、誠実に届けられる内容に留める勇気も必要です。

まとめ:あなたの想いをリターンに込めて

リターン設計はジャンルによって一定の特徴がありつつも、価格帯・内容全て自由に設計できるため難しさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか? もし今、リターンの内容で迷い、不安を感じているのであれば、あなたの想いを形にするために、まずは私たちクラウドファンディングのプロに相談してみませんか。


(筆者情報)

著者

小谷菜美

執行役員 / エキスパートキュレーター / 准認定ファンドレイザー / 日本評価学会認定評価士

法政大学 社会学部卒。WEB/編集ディレクターを経て2017年にREADYFORに参画。文化部門立ち上げ、こどもギフトプログラム立ち上げ、プログラムオフィサー。クラウドファンディング キュレーターとして伴走したプロジェクトの累積調達額約 38億。キュレーター部 部長、サービス開発部 部長、ファンドレイジング部 部長を経て現職。

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