事例インタビュー

公開日:2026/08/20

更新日:2026/8/21

認定NPO法人ウィーログ様|7回目の挑戦も「毎年、怖い」。それでも自分たちの活動を信じているから、挑み続ける。

READYFORサプリ編集部

クラウドファンディングに挑戦したい。けれど、「本当に達成できるだろうか」「ご支援をいただけるだろうか」と、不安や怖さを感じたことはありませんか。


初めての挑戦はもちろん、実績を重ねたあとの再挑戦であっても、目標を背負うプレッシャーや不安が消えることはありません。「また応援してもらえるだろうか」「支援者との関係をどう育めばいいのか」。そう迷いながらも、活動を続けるには、資金も、応援してくれる仲間も欠かせません。


認定NPO法人ウィーログは、バリアフリーマップアプリ「WheeLog!」を運営し、READYFORで継続的にクラウドファンディングへ挑戦してきました。「READYFORファンドレイジング クラウドファンディングインパクトアワード2026」では、優秀賞「イノベーティブ賞」を受賞しています。

【受賞理由(一部)】
計6回のクラウドファンディングを通じ、ユーザーや支援者との対話を重ねながら、社会変革のためのコミュニティを形成。アプリの運営にとどまらず、講演会や街歩き、政策提言など、社会全体のバリア構造を変える活動を多角的に展開している。

特に、新機能「エリアマップ」を市民の集合知で実現しようとするアプローチは、社会課題解決のための「仕組みづくり」として極めて現代的かつイノベーティブな仕組みである。評価コメント全文は特設サイトをご覧ください

【受賞を受けて|ウィーログ 代表 織田様】「車いすでもあきらめない世界をつくる。」行きたい場所や挑戦したいことを諦めなくてすむように。私たちは、一人ひとりの小さな可能性を大切に育てるつもりで、活動を続けてまいりました。しかし、それは容易ではないと日々痛感し、今だにもがいています。いちNPO法人がアプリを無料で提供し続けることはこれほどにも困難なことなのか、と。

それでも、社会課題の解決のためにみんなで挑戦できるのは、幸せなこと。ひとえに、私たちのアプリを継続できるのは、温かいご支援をくださる皆さまのおかげであり、感謝の念に堪えません。今回の受賞は、毎年のように挑戦するクラウドファンディングを支えてくださっている皆さま、一人ひとりの温かい気持ちの証だと受け止めております。

皆さんのご支援のおかげで繋がっている「世界で一番温かい地図」を継続し、 そして実社会でもバリアフリーを享受できる日本となりますように。私たちは、これからも当事者やその周りの方々の声を大切にし、誰一人取り残さない社会の実現に向け、粘り強く取り組んでまいります。

・アワード特設サイトURL:https://cf.readyfor.jp/award2026

今回は、代表の織田友理子さんと事務局の杉山葵さんに、「毎年、(達成できるか)怖い」と感じながらも挑戦を続ける理由と、支援者とともに活動をつくってきた歩みを聞きました。



ウィーログ

車いすユーザー向けバリアフリーマップアプリ「WheeLog!」を開発・運営する認定NPO法人。「車いすでもあきらめない世界をつくる」をミッションに、みんなでつくるバリアフリーマップを通じた情報発信のほか、街歩きイベントや講演、バリアフリーに関する調査・政策提言などに取り組む。代表理事の織田友理子さんは、自身も電動車いすを利用している。


クラウドファンディングの歩み

ウィーログが団体として初めてREADYFORでクラウドファンディングに挑戦したのは、2019年です。2025年までに計6回のプロジェクトを実施し、「車いすでもあきらめない世界をつくる」ことを目指して、アプリの開発・運営や活動の継続に必要な資金を募ってきました。

取材時の2026年7月には、7回目となるクラウドファンディング「車いすでもあきらめない世界をつくる!ウィーログ2026」の公開準備を進めており、その後、同プロジェクトの公開に至りました。

2026年のプロジェクトを見る

READYFORで公開したプロジェクトの一覧を見る

目次

クラウドファンディングという「仕組み」への共感

── 初めてクラウドファンディングを活用されたときの背景を教えてください。

織田さん:2013年に、代表を務める特定非営利活動法人PADM(遠位型ミオパチー患者会)で、初めてREADYFORを知りました。(当時実施したプロジェクトはこちら)

当時は入院中だったんですけれども、どうしても挑戦したくて、病室から連絡を取りました。当時のREADYFORの担当の方から「どうしてやりたいんですか」とすごく聞かれたことを、よく覚えています。

その時はまだ、やりたいことを多くの方から支援していただきながら実現するという活動のあり方が、いまほど広く受け入れられていなかったと思います。周囲には、すぐには理解してもらえないこともありました。

それでも「やっていることは絶対悪くない」と思っていて。「日本でこういう姿ってあり得るんだな」って。クラウドファンディングという仕組みが社会に広がっていけば、いろんな人の夢が叶っていくんだろうな、という世界観がすごく好きでした。そのときに受けた衝撃が、いまも続いています。

PADMとして初めて挑戦したクラウドファンディング

── WheeLogとして初めて挑戦されたのは、2019年でした。

織田さん:その前に、WheeLog!の開発に向けた大きな転機となったのが、2015年のGoogleインパクトチャレンジでした。NPO法人PADMとして「インパクトチャレンジ賞 グランプリ」を受賞し、5,000万円の助成を受けて、アプリの開発を進めました。

その後、開発や運営を続けていくなかで、患者会とバリアフリーの社会課題をより明確にし解決していくために、バリアフリー活動はスピンアウトする形で、新たに一般社団法人WheeLogを設立しました(現在は認定NPO法人ウィーログ)。継続的な資金確保が課題になり、2019年に、月額で継続的に支えてくださる「マンスリーサポーター」の仕組みを導入しました。

「やりたいことは、やりたいと言っていいんだ」「言っていかないと夢は叶わないんだ」と。覚悟を持って支援を募ることは、READYFORさんの仕組みがあったから、堂々と言ってもいいのかなと思えたんです。

2019年に挑戦したプロジェクト

── ウィーログさんにとって、クラウドファンディングはどのような存在ですか。

杉山さん:僕たちが大事にしているのは、コミュニティです。「みんなでつくっていく」ということを、すごく大切にしています。

クラウドファンディングは、ただ資金を集めるだけでなく、みんなで活動をつくっていくことを知っていただく機会でもあって。WheeLog!を知ったことで、あらためて外出したいと思ったという声が寄せられることもあります。

新たにWheeLog!を知ってくださる方へ活動を届けられるだけでなく、これまで応援してくださった方にも、「次はこういうことをするんだ」と知っていただける。その二つの役割があると感じています。

── 織田さんは、クラウドファンディングをどのようにとらえていますか。

織田さん:自分たちが目指していることを、どのように実現していくのか。その過程を丁寧に伝えられる場だと思っています。

ご支援いただけるタイミングは、人によって異なります。毎回ではなくても、ぶれずに活動を続け、その姿を見せていくことで、何年かぶりに戻ってきてくださる方もいるんです。

ウィーログのCTOを務める伊藤史人先生は、クラウドファンディングを、自分たちの姿勢を振り返るための「通知表」にたとえることがあります。支援者の方に見ていただいても、恥ずかしくない活動でありたい。

「クラウドファンディングのときだけだよね」とか、「言っていたことと、実際にやっていることが違うよね」と思われないようにしたい。活動の過程を見ていただける場があるからこそ、自分たちの姿勢を正し、取り組みをより確かなものにしていける感覚があります。

クラウドファンディングの支援者の方と「特別お茶会」を実施した時の様子(活動報告より)



あえて厳しい道を選ぶ。All-or-Nothing方式に込めた覚悟

── クラウドファンディングで支援を募る時期が近づくと、どのような気持ちになりますか。

織田さん:正直なところ、毎年「夏、やだな」と思っちゃうくらいで...。今回も本当に達成できるのかなって、めちゃくちゃ怖いんです。

挑戦を重ねても、その怖さがなくなるわけではありません。去年も大変だったから、今年はもっと大変になる。毎回「どうしよう」と思います。

── それほど怖さがあっても、All-or-Nothing方式*を選ぶのはなぜでしょうか。

織田さん:自分たちの覚悟が試されるからだと思っています。

助成金などで大きな資金をいただく方法もありますが、クラウドファンディングには、多くの方に活動を知っていただき、理解を広げていける良さがあります。

たくさんの方に参加していただく過程そのものが、自分たちの成長にもつながっていると感じています。

※All-or-Nothing方式...設定した目標金額に1円でも満たない場合は、支援者に全額返金される仕組み

── 毎年、前年の成果を超え続けられています。その原動力はどこにあるのでしょうか。

織田さん:以前の主治医から聞いた「成長なければ衰退する」という言葉が、ずっと頭にあるんです。その言葉を自分なりに受け止めて、毎回、自分たちなりの成長を目指して挑戦しています。

自分で自分にプレッシャーをかけているような感覚で、正直超怖いです。それでも、最後の最後まで「去年よりも上に行きたい」と踏ん張ります。目標金額を達成できても、前年を上回れなければ、自分のなかでは悔しさが残ります。

クラウドファンディング終了の最後まで、メンバーとともに目標達成に向けて継続的にメッセージを発信


支援者とともに、活動をつくっていく

── 応援コメントには、毎回丁寧に返信されていますね。

織田さん:結果的に、これまでのプロジェクトでは、すべての応援コメントに返信してきました。夏に終了したプロジェクトの返信が、年末までかかったこともあって。

全体にお礼を伝えたり、リターンをお送りしたりする機会はあります。でも、一人ひとりに「本当にありがとうございます」と伝えられる場は、応援コメントへの返信しかないと思っているんです。

「ありがとう」と伝えられる機会は限られています。機会を逃さず、伝えられるときにきちんと伝えたい。感謝をすべて伝え切ることはできなくても、できる限り一人ひとりに言葉を返したいと思っています。

いまは杉山さんにサポートしてもらいながら、支援者様からの一つひとつのコメントに向き合っています。

── クラウドファンディング以外では、どのようにコミュニケーションを取っていますか。

織田さん:私が対面で会える人は限られています。だからこそ、対面以外の方法でも、活動を理解してもらうための努力をしなければと思っていて。

いまは、マンスリーサポーターの方に向けて、月に一度、長文のメールを送っています。自分がいま何を思い、何をやりたいと考えているのかを、お手紙のような気持ちで書いているんです。

杉山さん:3,000字くらいですね。

織田さん:本当はもっとたくさん書いていて、一生懸命削っているくらいです。毎月手紙を書いていると、自分の考え方もどんどん変わっていく感覚があります。

何を伝えるかを考えることは、まさに「命を使って何をしたいか」を言葉にすることでもある。それを毎月繰り返し、マンスリーサポーターのみなさんへ番に伝えています。

9周年記念イベントを実施した時の様子

── 思いが伝わっていると感じる瞬間はありますか。

織田さん:ここ1年ほど、月に一度、杉山さんとオンライン配信を続けています。

継続して見てくださる方や、コメントをくださる方がいることに気づく瞬間があります。別の団体の方が参考にしてくださっていると知ることもあって。

すべての反応が分かるわけではありませんが、私たちの発信が誰かの変化につながっていると感じることがあります。

杉山さん:オンラインでコメントをくださっていた方が、イベントに参加してくださることもあります。オンラインでつながっていた方と、実際に対面でお会いできたときは、やっていて良かったなと思います。

現在挑戦中のプロジェクトでは、公開期間中にもYOUTUBE配信を実施



頑張れることは、幸せ。不安を抱えながら次の挑戦へ

── キュレーターの伴走を心強く感じた場面はありましたか。

織田さん:内部だけで進めていると、どうしてもなあなあになってしまうことがあります。だからこそ、外から伴走してくれる存在は欠かせないと思っています。

ページの質が上がるだけでなく、私たち自身も毎回鍛えられ、チームとして強くなっていく感覚があるんです。

前回いただいた指摘を踏まえて、「今回はこうしよう」と、毎回みんなで対策を重ねてきました。そうやって、挑戦するたびに進め方を少しずつ更新できています。

数年間、一緒に取り組んできたなかで、私たちの癖や、つい手を抜きそうになる瞬間まで分かったうえで関わってくださっています。もう、プロジェクトメンバーの一人のような存在です。

伴走していただいているからこそ、毎年、成長を目指して挑戦できていると思います。

── 挑戦を続けてこられた土台には、どのような思いがありますか。

織田さん:最近思うのは、頑張れること自体が幸せなんだ、ということです。頑張れる場を与えてもらっている感覚がありますし、挑戦できることがうれしいんです。

毎回「不安だ」「怖い」と言っていますけれど、自分たちの活動を信じているからこそ、挑戦を続けられているのだと思います。その土台には、挑戦できること自体が幸せだという思いがあります。

── ウィーログとして、これから実現したいことを教えてください。

織田さん:団体としては、政策提言にさらに力を入れていきたいです。福祉やバリアフリーの課題を、人を助けるという視点だけではなく、人権や生命の尊厳に関わるものとして伝えていきたいと思っています。

移動したい人が移動できる。働きたい人が働ける。学校へ行きたい人が学べる。そうした一人ひとりの願いを大切にできる社会を目指しています。

新しいことや難しいことに取り組むには、社会の理解と資金の支えが必要です。クラウドファンディングは、活動を多くの方に知っていただき、その実現を支えてもらうための大切な方法の一つだと思っています。

ウィーログさんが挑戦する7回目のクラウドファンディングプロジェクトはこちらから。

車いすでもあきらめない世界をつくる!ウィーログ2026(支援募集は8月31日まで)


まとめ

「毎年、怖い」。挑戦を重ねたいまも、織田さんはその不安を隠しません。それでも、頑張れる場があること、挑戦できること自体を「幸せ」だと語ります。

ウィーログにとってクラウドファンディングは、必要な資金を募るだけの場ではありません。活動の過程を伝え、自分たちの姿勢を振り返る。応援コメントに一つひとつ言葉を返し、支援者との関係を育てる。挑戦を重ねるなかで、支援者とともに活動をつくる大切な場になっていきました。

怖さがなくなるのを待たなくても、自分たちが実現したい未来を言葉にすることはできます。支援をお願いすることに迷ったとき、まずは「誰と、どのような未来をつくりたいのか」を言葉にしてみませんか。

READYFORサプリ編集部

READYFORサプリ編集部は、「みんなの想いを集め、社会を良くするお金の流れをつくる」ことを目指し、資金調達や寄付集めをサポートする情報を発信します。クラウドファンディングやファンドレイジング成功に向けたノウハウをお伝えする勉強会やセミナーも開催しています。実行者インタビューやプロジェクトの裏側を伝える記事などをはじめ、想いを形にし、資金調達を成功に導くための様々な情報をお届けします。

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